KDDIが展開するオンライン専用ブランド「povo(ポヴォ)」は2021年1月13日にスタート。その後2021年9月29日より料金体系を変更して、現在は「povo2.0」としてサービスを提供しています。
ドコモの「ahamo」やソフトバンクの「LINEMO」に対抗した、KDDIのオンラインに特化したブランドですが、他社のような定額制ではなく「トッピング」によって必要なときに必要な分だけ購入するという独特な仕組みとなっています。
というわけでここでは「povo」についてその特徴やメリット・デメリットなどを詳しく見ていきたいと思います。
目次
povoとは?
「povo」はKDDIが2021年3月23日から提供開始したオンライン専用のブランド。メインブランドの「au」やサブブランドの「UQモバイル」と違って、申し込みやサポートなどは基本的にオンラインのみでの対応となっています。
サポートをオンライン化することで利用料金を抑えて、且つKDDIの回線を使用した安定感のあるデータ通信が利用可能といった特徴があります。
ちなみに「povo」は2021年9月29日に料金プランの内容を刷新した「povo2.0」の提供を開始し、2021年3月23日の提供開始当初からの料金プランは「povo1.0」と名称を変更して新規受付を停止しています。
ここでは現在提供されている「povo2.0」について詳しく見ていきたいと思います。
利用料金や諸費用について
利用料金
「povo」の料金プランはちょっと変わっていて基本料は0円となっています。ただしこのままではデータ容量も0なのでデータ通信を利用することはできません(0円0GB時は送受信最大128kbpsとなる。またwifiを利用するなどしてのデータ通信は可能)。
データ通信を行う場合はオプションとして用意されている「データトッピング」から必要なデータ容量を都度購入して利用することになります。
「データトッピング」の詳細については下記の通り。
■データトッピング
データ容量 | 料金 | 有効期間 |
1GB | 390円 | 7日 |
3GB | 990円 | 30日 |
20GB | 2,700円 | 30日 |
60GB | 6,490円 | 90日 |
150GB | 12,980円 | 180日 |
使い放題 | 330円 | 24時間 |
つまり「povo」では、月間に決められたデータ容量や利用料金というのがなく、必要なときに必要な分だけオプションとしてデータ容量を購入して使う、といったタイプの料金プランになっています。
wifiなどを利用することで「データトッピング」を購入せず基本料0円のまま使用し続けることもできますが、180日間以上有料トッピングの購入等がない場合は利用停止、契約解除となることがあるので注意が必要。
下記はサブブランドも含めた格安SIM各社の料金プランにおいて、データ容量別の月額料金の一覧をまとめた記事です。「povo」の料金プランは特殊なので他社と比べるのはちょっと難しいかと思いますが参考としてください。
諸費用について
初期費用
「povo」では1回線目については新規契約における手数料は一切発生しません。
povo2.0プランでは1回線目のご契約に関わる契約事務手数料や、SIMの初回発行手数料などはありません。
お客様サポート(povo)より引用
■新規契約手数料
なし
■SIMカード発行手数料
なし
同一名義の「povo2.0」の契約が2回線以上になる場合は契約事務手数料として3,300円が発生します。
※ただし当面の間、本手続きに関して手数料がかかることはなく、また現在は複数回線についても料金は発生していないとのこと(2022年3月23日現在)。
解約時にかかる費用
「povo」では、いわゆる「○年縛り」といった「最低利用期間」は設定されていません。そのため「解約解除料」もなく、また他社への乗り換え(MNP転出)する際において「MNP転出手数料」も不要です。
povo2.0プランでは契約期間の定めや契約解除料(違約金)の発生はありません。
お客様サポート(povo)より引用
povo2.0プランからau/UQ mobile/他社への乗り換え(転出)手数料 乗り換え(転出)に伴うMNP予約番号発行手数料はかかりません。
お客様サポート(povo)より引用
■最低利用期間
なし
■解約事務手数料
なし
■MNP転出手数料
なし
使用している回線について
当たり前の話ですが、KDDIのブランドである「povo」はKDDIの回線を使用してデータ通信サービスを提供しています。
その為、ドコモ、ソフトバンクなど大手通信キャリアによってSIMロックがかかっているスマートフォンで「povo」に乗り換える場合は「SIMロック解除」が必要です。
auで販売されているスマートフォンをそのまま「povo」で利用する場合は基本的にSIMロック解除は不要です。
SIMロックが設定されている端末は、SIMロックの解除が必要です。
対応機種・端末(povo)より引用
※auで購入された端末は、SIMロック解除不要です。
例えば下図のようにauのスマホを使用して「povo」に乗り換える場合はSIMロック解除は不要です。
逆にドコモ、ソフトバンクのスマホを利用して「povo」に乗り換える場合はSIMロック解除を行う必要があります。
料金プランの特徴
データ容量の繰り越し
「データ容量の繰り越し」とは、月間のデータ通信量が規定のデータ容量に満たなかった場合、余ったデータ容量を次月に繰り越すことができるというサービス。
現在、多くの格安SIMではこのサービスを提供していますが、残念ながら「povo」では余ったデータ容量を繰り越すことはできません。
そもそも「povo」は「月間のデータ容量」という概念が無く、必要な分を都度チャージするプリペイドSIMのような仕組みなので、購入した「データトッピング」は有効期限を過ぎると消滅してしまいます。
購入する「データトッピング」は、なるべく必要最小限にして無駄なく利用することがおすすめですね。
データ容量超過時の通信速度
「povo」もデータ容量を使い切ると通信速度に制限がかかり低速になるというのは他の格安SIMなどと同様ですが「月間のデータ容量」という概念がないので、月替わりによって低速状態が解除されるということはありません。
データ容量を使い切る、或いは有効期限を過ぎたことにより通信速度制限が課された状態を解除するには、「データトッピング」を購入して利用可能なデータ容量を確保する必要があります。
ちなみに「povo」では通信速度制限が課されると最大128kbpsでのデータ通信となります。さすがに利用するうえではストレスを感じざるを得ない低速状態なので、どうしても利用する必要がある場合は「データトッピング」を購入して高速通信の状態に戻すのがよいですね。
節約モード・高速モードの切替は不可
格安SIMの中には「高速モード⇔低速モード」といった具合にデータ通信における通信速度を切り替えることができる機能を提供しているブランドもあります。
この機能は「低速モード」でのデータ通信は通信速度に制限をかける代わりにデータ容量を一切消費しないというもの。一般的に「節約モード」などとも呼ばれてます。
SNSなどあまりデータ通信量を必要としない場合は「低速モード」に切り替えることでデータ容量の消費を抑えることができるというわけです。
しかし「povo」では残念ながら「高速モード⇔低速モード」の切替ができる機能は提供されていません。「データトッピング」により利用可能なデータ容量が残っている状態では常に高速でのデータ通信となります。データ容量を使い切る、或いは有効期限を過ぎてデータ容量が消滅した場合、低速(最大128kbps)でのデータ通信となります。
#ギガ活
「#ギガ活」とはデータ通信に必要なデータ容量を「データトッピング」として購入するのではなく、一般のお店やサービスなどを利用することによりデータ容量を得ることができる仕組みです。
「#ギガ活」でのデータ容量取得の方法は以下の3種類。
- #ギガ活でもらう
- #ギガ活でさがす
- #ギガ活であたる
例えば「au PAY」の支払いでギガ(データ容量)をもらう、お店が買い物をしてギガ(データ容量)をもらう、飲食店で食事をしてギガ(データ容量)をもらう、といったことが可能となります。
海外でのデータ通信は?
4大キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)や、そのサブブランドでは海外でもデータ通信を行うことができる「国際ローミングサービス」を提供しています(一部利用できないブランドもある)。
KDDIのブランドである「povo」は現時点(2022.4.11)では「国際ローミング」を利用した海外でのデータ通信はできませんが、今後サービス提供予定とのことです。
Q:海外での通話やデータ通信(国際ローミング)には対応していますか?
povoサポート(povo 公式HP)より引用
A:サービスの提供を予定しています。 開始時期は決まりしだい、「povo2.0ウェブサイト」でご案内します。
通信速度について
「povo」の通信速度について調べてみましょう。通信速度に関する情報は「みんなのネット回線速度」という、携帯キャリアや光回線の通信速度比較が出来るサイトの情報を参考にしてみます。
参考:みんなのネット回線速度(https://minsoku.net)
※「みんなのネット回線速度」にて直近3ヶ月に計測された「povo」の測定結果からの平均値を参照。(2022年4月11日現在)
※「みんなのネット回線速度」における測定結果は、通信環境や時期によって結果が変わってくるので、内容についてはあくまで参考程度としてください。
下記は「povo」の時間帯別の平均速度です。
※みんなのネット回線速度(https://minsoku.net/speeds/mobile_major_carrier/services/povo)より引用
「povo」はKDDIのブランドなので通信の品質は基本的にauと同等。時間帯による影響はさほどなく、1日通してある安定した通信速度を保っていることが分かります。
時間帯 | 下り | 上り |
朝 | 76.45Mbps | 10.84Mbps |
昼 | 77.4Mbps | 12.35Mbps |
夕方 | 101.34Mbps | 17.13Mbps |
夜 | 77.52Mbps | 12.87Mbps |
深夜 | 84.18Mbps | 14.72Mbps |
キャンペーンなど
povo2.0 フェス~2022 Spring~
「povo」ではキャンペーン期間中に新規契約することで10日分データ使い放題、さらに対象トッピングを購入することで最大合計30日分データ使い放題となるキャンペーンを実施しています。
適用条件などキャンペーンの詳細は以下の通りです。
■キャンペーン期間
2022年1月25日(火)~ 終了時期未定
■特典
【特典1】
「povo2.0」の新規契約で「データ使い放題(24時間)」のプロモコードを10回分プレゼント。
【特典2】
「povo2.0」開通後、30日以内に初めて購入した対象のデータトッピングに応じて「データ使い放題(24時間)」のプロモコードをプレゼント。
データトッピング | 特典 |
データ追加 3GB(30日間) | データ使い放題(24時間)3回分 |
データ追加 20GB(30日間) | データ使い放題(24時間)10回分 |
データ追加 60GB(90日間) | データ使い放題(24時間)15回分 |
データ追加 150GB(180日間) | データ使い放題(24時間)20回分 |
■適用条件
【特典1】
キャンペーン実施期間中に「povo2.0」を新規契約してSIMカードまたはeSIMの有効化を行うこと。
【特典2】
キャンペーン実施期間中にSIMカードの有効化またはeSIMの発行後、30日以内にデータトッピングを購入すること。
povoおともだち紹介プログラム
「povoおともだち紹介プログラム」とは「povo2.0」ユーザーからの紹介を受け、紹介する方の「ご紹介コード」を入力して加入することで「紹介する方」「紹介された方」のそれぞれに特典が付与されるサービス。
「povoおともだち紹介プログラム」についての概要は以下の通り。。
■特典
【紹介する方】
1名新規加入する毎に「データボーナス3GB(30日間)」が自動的に付与される。最大10名まで紹介可能。
【紹介される方】
・「データ使い放題ボーナス(24時間)」が1回自動進呈される。
・加入後30日以内にはじめて購入した対象のデータトッピングに応じて「データ使い放題ボーナス(24時間)」のプロモコードを進呈。
※データ追加1GB(7日間):1回分
※データ追加3GB(30日間):2回分
※データ追加20GB(30日間):3回分
※データ追加60GB(90日間):5回分
※データ追加150GB(180日間):5回分
■紹介手順
・アプリのホーム画面下部の「詳細はこちら」をタップ
・表示された8桁の「ご紹介コード」を紹介される方に伝える、或いは「コードを共有する」をタップする。
・希望の共有方法を選択して「ご紹介コード」を紹介される方に共有する。
■加入手順
・紹介する方より「ご紹介コード」を貰う。
・加入手続きの際に「ご紹介コード」を入力する。以降、画面の指示に従い契約を完了させる。
メリット・デメリット
最後に「povo」のメリット・デメリットをまとめてみました。それぞれをよく把握したうえで、自分の使い方にはメリットの方が多いのか、それともデメリットの方が多いのかを検討してみるとよいですね。
「povo」のメリットとしては以下のような点があげられます。
- auと同等の品質のデータ通信が可能。
- 月単位の定額制ではないので必要なときに必要な量だけ利用することが可能。
- 利用方法次第では料金をかなり低額に抑えることができる。
- 「#ギガ活」を利用してデータ容量を増やすことが可能。
「povoおともだち紹介プログラム」を利用してデータ容量を増やすことが可能。
「povo」のデメリットとしては以下のような点があげられます。
- 定額制ではないので使い過ぎると利用料金は高くなる。
- 180日間以上有料トッピングの購入等がない場合は利用停止、契約解除となる可能性がある。
- 低データ容量のデータトッピングは有効期限が短い。
- 節約モード/高速モードの切り替えができない。
余ったデータ容量の繰り越しができない。 - 手続きやサポートは基本的にオンラインのみ。