今では「格安SIM」という言葉がかなり広く知られるようになっていますね。また格安SIMサービスを提供する通信事業者も増えています。そんな中で、実は老舗であるけれどあまり名前を知られていないのが「日本通信SIM」。
1996年創業の「日本通信株式会社」が提供する格安SIMサービスなのですが、他社とは一線を画した独特の格安SIMサービスを提供しています。
ここではその「日本通信SIM」が提供する料金プランやサービスの特徴などを紹介したいと思います。
目次
日本通信SIMとは?
「日本通信SIM」は「日本通信株式会社」が提供する格安SIMサービス。ドコモの回線を利用した音声通話・データ通信の料金プランを提供しています。
あまり馴染みのない社名かもしれませんが、実はMVNO(仮想移動体通信事業者)としては日本で第1号の企業なのです。「日本通信SIM」の他にも「b-mobile」という格安SIMサービスを展開しています。
月額料金や諸費用について
料金プラン
「日本通信SIM」の料金プランはちょっと変わっていて、利用者の使い方に合わせて以下の5種類が用意されています。
■合理的シンプル290プラン
従量制と定額制のメリットを融合させた料金プラン。
■合理的みんなのプラン
中容量(6GB)で無料通話(70分/月)を含む料金プラン。
■合理的20GBプラン
大容量(20GB)で無料通話(70分/月)を含む料金プラン。
■合理的かけほプラン
小容量(3GB)で通話かけ放題の料金プラン。
■Wスマートプラン
健康管理アプリ「FiNC(フィンク)」と連携した料金プラン。月間6万歩で最大+1GB。
月額料金
「合理的シンプル290プラン」「合理的みんなのプラン」「合理的20GBプラン」「合理的かけほプラン」「Wスマートプラン」それぞれの月額料金は以下のようになっています。
合理的 シンプル290プラン |
合理的 みんなのプラン |
合理的 20GBプラン |
合理的 かけほプラン |
Wスマート プラン |
|
月額基本料 | 290円~ (従量制) |
1,390円 | 2,178円 | 2,728円 | 1,738円 |
データ容量 | 1GB~ (従量制) |
6GB | 20GB | 3GB | 3GB ※1 |
無料通話 | なし | 70分/月 | 70分/月 | かけ放題 | 70分/月 |
選択可能な 通話定額 |
70分無料通話 通話かけ放題 |
なし | 通話かけ放題 | なし | なし |
超過 データ料金 |
220円/1GB | 275円/1GB | 275円/1GB | 275円/1GB | 275円/1GB |
国内通話料 | 11円/30秒 | 11円/30秒 | 11円/30秒 | 0円 | 11円/30秒 |
※1 月間6万歩で最大+1GB。
下記は格安SIM各社の料金プランにおいて、データ容量別の月額料金の一覧をまとめた記事です。
諸費用について
初期費用
「合理的シンプル290プラン」「合理的みんなのプラン」「合理的20GBプラン」「合理的かけほプラン」「Wスマートプラン」の初期費用はいずれも以下のようになっています。
■初期手数料
3,300円
■SIMカード発行手数料
0円
※店頭で「スターターパック」を購入した場合は初期手数料不要。
解約時にかかる費用
「合理的シンプル290プラン」「合理的みんなのプラン」「合理的20GBプラン」「合理的かけほプラン」「Wスマートプラン」いずれの場合も解約時にかかる各種費用は以下のようになっています。
■最低利用期間
なし
■契約解除料
0円
■MNP転出手数料
0円
日本通信SIMの料金プラン「合理的シンプル290プラン」「合理的みんなのプラン」「合理的20GBプラン」「合理的かけほプラン」「Wスマートプラン」はいずれも最低利用期間が設定されていません。つまり、どのタイミングで解約しても契約解除料が発生することはありません。
また、MNP(Mobile Number Portability:携帯電話番号ポータビリティ)を利用して他の携帯電話会社へ乗り換えする際の「MNP転出手数料」も無料となっているので、解約する場合、或いは他社へ乗り換える場合において解約金、違約金などが発生することはありません。
データチャージ
ほとんどの格安SIMでは料金プランにおける月間のデータ容量を使い切った場合「データチャージ」を行うことでデータ容量の残量をチャージ(増量)することができます。
「日本通信SIM」の場合は、各料金プランで設定されている月間のデータ容量を超えた分に対しては1GB単位で追加料金が発生する仕組みになっています。
また予め上限を設定できるようになっていて、上限を超えた場合はデータ通信不可となり追加料金が発生することはありません。上限にはいつでも変更可能で即時反映されるようになっています。
料金プラン別の超過データ分の料金は以下のようになっており「合理的シンプル290プラン」が1GBあたり220円、それ以外は1GBあたり275円です。
料金プラン | 超過データ料金(1GB) |
合理的シンプル290プラン | 220円 |
合理的みんなのプラン | 275円 |
合理的20GBプラン | 275円 |
合理的かけほプラン | 275円 |
Wスマートプラン | 275円 |
ドコモ回線に対応
「日本通信SIM」はドコモ回線に対応しています。
ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手通信キャリアでかつて販売されていた「SIMロックされたスマホ」をそのまま使って格安SIMに乗り換えする場合、乗り換え先の格安SIMが採用しいてる回線が自分の持っているスマホに対応していれば、基本的にSIMロック解除の必要はありません。
例えば下図のようにドコモのスマホを使用して「日本通信SIM」に乗り換えする場合はSIMロック解除は不要となります。
※ただし、機種によっては同じ回線でもSIMロック解除が必要な場合があります。
逆にau、ソフトバンクのスマホを利用して「日本通信SIM」に乗り換えする場合はSIMロック解除が必須となります。
料金プランの特徴
データ容量の繰り越しは不可
格安SIMの中には、料金プランで定められたデータ容量を当月に使い切れなかった場合、余ったデータ容量を翌月に繰り越すことができるサービスを採用しているケースがあります。
しかし「日本通信SIM」ではデータ容量を繰り越すサービスは提供されていません。当月のデータ通信量が規定のデータ容量に達しなかった場合でも、月が変わるとリセットされ使用できるデータ容量が増量されることはありません。
データ量は使った分だけお支払いいただく従量プランなので、繰り越しという概念がありません。
日本通信SIM よくあるご質問 より引用
データ容量超過後の通信速度
「合理的みんなのプラン」「合理的20GBプラン」「合理的かけほプラン」「Wスマートプラン」では、当月のデータ通信量が規定のデータ容量、或いは上限として設定したデータ容量を超過した後は低速でのデータ通信となります。
低速通信の通信速度について具体的な数字は公表されていませんが、動画やストリーム音楽など高速のデータ通信が必要なものは視聴が困難になるようです。メールなどテキストの送受信などが可能という程度とのこと。
「合理的シンプル290プラン」では当月のデータ通信量が規定のデータ容量、或いは上限として設定したデータ容量に達した場合、以降は日本通信SIMのウェブサイト、及びマイページ以外のアクセスはできません(※1)。
※1 2022年3月31日までは暫定措置として低速になる。
超過後はマイページでデータ容量の上限値をあげることでアクセス制限を解除することができます。すぐにご利用可能になります。上限設定についてはいつでも変更可能で即時反映されます。
通信速度の切替は不可
格安SIMによってはデータ通信において「高速モード⇔低速モード」といったように、通信速度を自由に切り替えることが可能なサービスを提供しているブランドもあります。
これは「低速モード」でのデータ通信は通信速度に一定の制限をかける代わりにデータ容量を消費しないというサービスで「節約モード」などとも呼ばれるものです。
あまりデータ通信量を必要としない「軽い」ネット接続は「低速モード」を利用することによってデータ容量のムダ遣いを防ぐことができる、というわけです。
しかし残念ながら「日本通信SIM」の料金プランでは「高速モード⇔低速モード」の切替の機能は提供されていません。
海外でのデータ通信は不可
「日本通信SIM」は国際ローミングを利用して(マイページから申し込みが必要)音声通話を行うことはできますが、データ通信を利用することはできません。
海外でネット接続する場合は海外用のWiFiルーターをレンタルしたり、現地でプリペイドSIMを購入したりするなどしてデータ通信を行う必要がありますね。
通話オプション
「日本通信SIM」では音声通話用の定額オプションとして下記の2種類が用意されています。
月間の通話が一定時間の人は「70分無料通話オプション」、月間の通話時間が70分を超える人は「通話かけ放題オプション」を利用するとよいですね。
■70分無料通話オプション(700円/月)
70分までの国内通話が無料。
■通話かけ放題オプション(1,600/月)
国内通話がかけ放題。
通信速度について
「日本通信SIM」の通信速度について見てみましょう。通信速度については「みんなのネット回線速度」という、携帯キャリアや光回線の速度比較が出来るサイトの情報を参考にしてみます。
参考:みんなのネット回線速度(https://minsoku.net)
※「みんなのネット回線速度」にて直近3ヶ月に計測された「日本通信SIM」の測定結果からの平均値を参照。(2022年2月25日現在)
※「みんなのネット回線速度」における測定結果は、通信環境や時期によって結果が変わってくるので、内容についてはあくまで参考程度としてください。
下記は「日本通信SIM」の時間帯別の平均速度です。
※みんなのネット回線速度(https://minsoku.net/speeds/mvno/services/nihontsushin-sim)より引用
昼、夕方の時間帯にやや通信速度の低下が見られますが、1日通して比較的安定感がある通信速度と言えるのではないでしょうか。
このデータを参考にする限りでは、よほど大きなデータ通信量を必要とする使い方でない場合はまずまず快適に利用できるのではないかと思います。
時間帯 | 下り | 上り |
朝 | 59.84Mbps | 15.26Mbps |
昼 | 21.35Mbps | 14.94Mbps |
夕方 | 41.36Mbps | 9.11Mbps |
夜 | 88.62Mbps | 16.39Mbps |
深夜 | 86.15Mbps | 20.24Mbps |
ネットでの評判も見てみましょう。
Twitterで「日本通信SIM」で検索してみたところ評価するツイートがわりと見られます。
一方、通信速度に不満を持つツイートも。ただ、傾向としては評価する内容のツイートの方がよく見られるような気がしますね。
メリット・デメリット
最後に「日本通信SIM」のメリット・デメリットをまとめてみました。それぞれをよく把握したうえで、自分の使い方にはメリットの方が多いのか、デメリットの方が多いのか、を検討してみるといいですね。
「日本通信SIM」のメリットとしては以下のような点があげられます。
- 利用者のニーズに合わせた料金プランが用意されている。
- 格安SIMの中でも月額料金が安い。
- 無料通話(70分/月)付きの料金プランがある。
- 最低利用期間、契約解除料がない。
- MNP転出手数料が無料。
「日本通信SIM」のデメリットとしては以下のような点があげられます。
- ドコモ回線しか選べない。
- 余ったデータ容量の繰り越しができない。
- 通信速度の切り替えができない。
- データ容量超過後はデータ通信不可。
- 海外でのデータ通信(国際ローミング)は不可。