ドコモ、au、ソフトバンクと同じくMNOとして新規参入。いわゆる「第4のキャリア」のキャリアと呼ばれる「楽天モバイル」について解説します。
1年間無料のキャンペーンや1GBまでは無料の料金プラン、また専用アプリを使えば通話料が無料など、無謀ともいえるサービスを展開して注目を集めています。
目次
楽天モバイルとは?
「楽天モバイル」は楽天グループの「楽天モバイル株式会社」が提供する移動体通信サービスです。
IIJmioやmineoといった格安SIM(MVNO)というイメージを持っている人が多いかと思いますが、実はドコモ、au、ソフトバンクと同じポジションの通信キャリア(MNO:移動体通信事業者)なのです。いわゆる「第4のキャリア」と呼ばれています。
ただサービス内容を見ると大手通信キャリアというよりも、どちらかというと格安SIMという印象の方が強いのではないでしょうか。
楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」
楽天モバイルでは「Rakuten UN-LIMIT VI」という料金プランを提供しています。
他の通信キャリアや格安SIMでは、複数の料金プランが用意されているケースがほとんどですが、楽天モバイルが提供する料金プランは「Rakuten UN-LIMIT VI」1つだけです。
シンプルで選ぶのに悩む必要がないというメリットはあるかもしれませんね。
Rakuten UN-LIMIT VIの月額料金
「Rakuten UN-LIMIT VI」の月額料金は従量制となっています。
つまり使用したデータ通信量によって月額料金が変動する仕組みで、1GBまでなら無料、3GBまでは1,078円、20GBまでは2,178円、20GB以上はどれだけ使っても3,278円です。
データ通信量 | 月額料金 |
~1GB | 0円 |
1GB~3GB | 1,078円 |
3GB~20GB | 2,178円 |
20GB~ | 3,278円 |
まず、1GBまでは無料というのが衝撃的。なるべくWi-Fiを使うなどしてデータ通信量を節約すれば、月額料金が一切発生しない、ということも可能です。
また、1GB以降の月額料金もかなりの低価格となっています。20GBは多くの格安SIMが料金プランを設定しているデータ容量ですが、例えばahamoでは2,970円、povoとLINEMOでは2728円なので、楽天モバイルは実質的に容量無制限であることを考えるとお得といえるでしょう。
楽天モバイルも含め、格安SIM各社の料金プランにおけるデータ容量別の月額料金の一覧を下記記事にまとめているので参考にしてください。
楽天回線とパートナー回線
楽天モバイルはMNO(移動体通信事業者)なので、当然自前の回線網を使ってサービスを提供しています。しかし新規参入したばかりということで、まだじゅうぶんなエリアを網羅していないため、他社の回線を「パートナー回線」として自社回線と併用しています。
楽天モバイルが「パートナー回線」として採用しているのはau回線。楽天回線が整備されていないエリアではau回線を利用したデータ通信が行われます。
楽天回線は今現在もエリア拡大を続けていて、一定程度カバーされた地域では順次au回線の提供を停止していくという流れになっています。
ということで同じ料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」であっても、楽天回線とパートナー回線では少々扱いが異なるのでその違いを見てみましょう。
楽天回線エリアではデータ容量無制限ですが、パートナー回線エリアではデータ容量が下記のようになっています。
■国内(au回線)
データ容量:5GB
容量超過後:通信速度最大1Mbpsに制限
■国外(66の国と地域)
データ容量:2GB
容量超過後:通信速度最大128Kbpsに制限
国内のパートナー回線エリア(au回線)ではデータ容量が5GBで、これを超過した場合は通信速度が最大1Mbpsに制限された状態で使い放題となります。
通信速度が最大1Mbpsであれば、高画質の動画の試聴やアプリダウンロードなどでは多少影響があるかもしれませんが、SNSなどではそれほどストレスなく使用できると思います。
また「Rakuten UN-LIMIT VI」の月々の料金を決定するデータ通信量は、楽天回線エリア・パートナー回線エリア(国内・国外)の総量で算出されます。
なお、楽天モバイルでは海外でもパートナー回線エリアとして国内とは別に2GBが用意されています。これについて詳しくは後述します。
各種手数料が0円
楽てモバイルは「ZERO宣言」として下記の手数料が0円とされています。
- 契約事務手数料
- SIM交換手数料
- SIM再発行手数料
- MNP転出手数料
- 契約解除料
特に「契約事務手数料」は一般的に契約する際に必ず発生する手数料で、通常3,300円請求されるところが0円というのはありがたいところ。
また、他社に乗り換える際に発生する「契約解除料」「MNP転出手数料」も0円なので、楽天モバイルに乗り換えるハードルも下がるということですね。
Rakuten Linkアプリ使用で国内通話が無料
楽天モバイルの通話料は他のキャリアと同じく22円/30秒(国内通話)ですが、専用の「Rakuten Link」アプリを利用することで国内通話がかけ放題となります。
これはかなり凄いことで、データ通信を1GBに抑えながら電話は常に「Rakuten Link」アプリを使えば月額料金は全く発生しない、ということも可能なのです。
通信速度・通信エリアについて
楽天回線・パートナー回線
「通信速度」と「通信エリア」。これが楽天モバイルの最大の課題であり、利用者にとっては楽天モバイルを選ぶ際にネックになっていること、といっても過言ではないでしょう。
MNOに新規参入し「第4のキャリア」と呼ばれる楽天モバイルですが、自前の回線網は他の3キャリアに比べてまだまだじゅうぶんとは言えず、au回線をパートナー回線として併用しているのが現状です。
au回線のローミングサービスについては、楽天モバイルの自社エリアの人口カバー率が70%を超えた都道府県では、楽天モバイルとKDDIの協議を経てローミングサービスを終了することになっています。
また、楽天モバイルが自社エリアとして利用する「1.7GHz帯」は、速度は速いものの屋内やビルなど障害物のある場所では繋がりにくいというデメリットがあります。
このことにより以下のような課題が考えられます。
- 楽天回線エリア外では実質5GBのデータ通信容量制限が課され無制限の恩恵を受けられない。
- au回線のローミングサービス終了(※)後は一時的に不安定にかる可能性がある。
- 屋内やビルなど障害物のある場所では繋がりにくい。
ネットでの評判
楽天モバイルの通信速度について見てみましょう。通信速度については「みんなのネット回線速度」という、携帯キャリアや光回線の速度比較が出来るサイトの情報を参考にしてみます。
参考:みんなのネット回線速度(https://minsoku.net)
※「みんなのネット回線速度」にて直近3ヶ月に計測された楽天モバイルの測定結果からの平均値を参照。(2021年4月20日現在)
※「みんなのネット回線速度」における測定結果は、通信環境や時期によって結果が変わってくるので、内容についてはあくまで参考程度としてください。
下記は楽天モバイルの時間帯別の平均速度です。
※みんなのネット回線速度(https://minsoku.net/speeds/mobile_major_carrier/services/rakuten-mobile-carrier)より引用
この結果を見る限りでは、驚くほど速いというわけではありませんが、まあまあ安定していると言えるのではないでしょうか。ただ、あくまで楽天回線エリア内での結果なのは言うまでもなく。エリア外の地域がまだまだあるというのは現状の課題であり、今後のエリア拡大を待つしかないですね。
時間帯 | 下り | 上り |
朝 | 27.71Mbps | 17.36Mbps |
昼 | 24.21Mbps | 15.95Mbps |
夕方 | 25.81Mbps | 16.52Mbps |
夜 | 21.77Mbps | 14.14Mbps |
深夜 | 28.39Mbps | 16.07Mbps |
SNSでの評判も見ておきましょう。
Twitterで「楽天モバイル」で検索してみました。このように通信速度に関して評価するツイートも見られます。
一方で厳しい意見もあります。こうして見ると、やはりまだ安定感には課題があるというのが現状でしょうか。現在凄い勢いでエリアを拡大しているので今後の進展に注目ですね。
楽天モバイルのメリット・デメリット
最後に楽天モバイルのメリット・デメリットをまとめてみました。それぞれをよく把握したうえで、自分の使い方にはメリットの方が多いのか、デメリットの方が多いのか、を検討してみるといいですね。
メリット
楽天モバイルのメリットとしては以下のような点があげられます。
- データ通信量1GBまでは月額料金が無料。
- 楽天回線エリア内では3,278円でデータ容量無制限。
- パートナー回線はデータ容量超過後でも最大1Mbps。
- 「Rakuten Link」アプリ利用で国内通話がかけ放題。
- 契約事務手数料、MNP転出手数料など各種手数料が無料。
- 海外でも2GBまでデータ通信可能。
デメリット
- 楽天回線エリアがまだ限定されている。
- 楽天回線は屋内やビルなど障害物のある場所では繋がりにくい。
- パートナー回線は5GBの容量制限あり。